絨毯の房・キリム・シラゼとは?端の名称と補修の実例
ORIENTAL MOON / 絨毯のお手入れと補修
房が短くなった。端から糸が出てきた。
気に入っている絨毯を、これからも使いたいときに。
絨毯の端には、それぞれ名前と役割があります。名前を知ると、どこが傷んでいるのか、どんな補修が合いそうかを伝えやすくなります。この記事では、房・キリム・シラゼの違いと、房の修復、房をなくす縁かがり、側面の補修について、図解と写真でご紹介します。
先に、3つの名称を整理すると。
端から伸びる糸が房(フリンジ)。柄のある本体と房の間にある毛足のない平織り部分がキリム。房のない側面を糸で巻いて補強した部分がシラゼです。傷み方とご希望に応じて、房を整える補修や、房なしに仕上げる加工を検討できます。
絨毯の端の名称|房・キリム・シラゼ
まずは、一般的な手織り絨毯の端を見てみましょう。産地や織り方によって、キリムの幅、房の長さ、縁の仕上げは異なります。

- 房(ふさ・フリンジ)
- 絨毯の端から伸びる糸の部分です。多くの手織り絨毯では、本体の土台となる経糸(たていと)がそのまま房になっています。飾りに見えても、本体の織りとつながっている大切な部分です。機械織りなどには、別に作った房を後から縫い付けたものもあります。
- キリム
- この記事では、毛足のある本体と房の間に設けられた平織り部分を指します。白や生成りの帯のように見えるもの、細いもの、模様が入ったものなどがあります。「キリム」は毛足のない平織りの敷物そのものの名称としても使われます。
- シラゼ
- 主に、房のない左右の側面を、糸で巻くようにかがって補強した縁のことです。絨毯の輪郭を整え、側面の織りを守ります。日本語では「縁かがり」「巻きかがり」と説明することもあります。
新品の写真で見る、房とシラゼ


上の2枚は、どちらも新品の絨毯の参考写真です。補修のビフォーアフターではありません。
こんな変化があれば、端を見直すタイミング
房の先だけの乱れなのか、付け根や本体まで傷みが進んでいるのかで、補修の内容は変わります。表面だけでなく、端をそっと持ち上げて裏側も見てみてください。
- 房の長さがまばらになった、抜けたような隙間がある。付け根まで擦り切れていないかを確認します。
- キリムの帯から横方向の糸がほどけている。端の織りが緩んでいないか、早めの確認が役立ちます。
- 側面のかがり糸が切れ、中の芯や土台が見えている。巻きかがりの補修を検討する目安です。
- 角が欠け始めた、柄のある部分までほつれている。房や縁だけでなく、本体の補修が必要かを見ます。
飛び出した糸を見つけても、引っ張ったり、付け根から切ったりせず、そのままの状態を写真に残してご相談ください。
実際の補修例|房を整えると、端の印象が変わります
「房のある雰囲気を残したい」という場合は、房の修復・付け替えや、付け根のほつれ止めを検討します。残っている糸と土台の状態を見て、その一枚に合う方法をご案内します。
実例1.ばらついた房を、揃った表情に


同じ柄の絨毯でも、房が整うと、端まわりの見え方がすっきりします。見た目の長さを揃えるだけでなく、付け根の状態に合う仕上げを考えることが大切です。
実例2.動物柄の絨毯の房を修復


ここに掲載した2組は、実際の房修復前後の写真です。撮影時の光や向きが異なるため、色の濃淡ではなく、房の長さ・揃い方・端の状態をご覧ください。補修方法と仕上がりは一枚ごとに異なります。
房をなくして、縁かがりで仕上げることもできます
「房が掃除機に巻き込まれやすい」「房のない、すっきりした形にしたい」。そんなご希望には、房のある端を、房なしの縁かがり仕上げにする加工も選択肢になります。

本来、側面の縁を指す「シラゼ」という言葉を、このような房側の巻きかがり仕上げにも使うことがあります。ご相談時には「房を残したい」「房なしで縁をかがりたい」とお伝えいただくと分かりやすくなります。
房を切って終わりにする加工ではありません。本体の織りや端の状態を確認し、必要なほつれ止め・縁の処理を行って仕上げます。キリム部分をどこまで残せるか、加工後の寸法や見え方がどう変わるかも、事前に確認します。
房のある姿が好きな方、元の仕立てを大切にしたい方には、房を残す補修が合うこともあります。房なし加工は元の形を変えるため、アンティークや思い入れのある一枚は、仕上がりの希望を共有してから方法を決めましょう。
側面のシラゼも、傷みに合わせて補修します
側面の糸が擦り切れたり、ほどけたりした場合は、縁のかがり直しを検討します。周囲の色や糸の太さ、巻き方を見ながら、土台の状態に合う補修を行います。

外側の糸だけを直せる場合もあれば、芯や本体の織りまで確認が必要な場合もあります。「房の修理」と「側面の縁の修理」は、傷んでいる場所と構造を分けて考えるのがポイントです。
ご希望と補修の方向性
| 気になること | 検討する方法 | 事前に見るポイント |
|---|---|---|
| 房が擦り切れた | 房の修復・付け替え、付け根のほつれ止め | 残った糸、付け根、本体の傷み |
| 房をなくしたい | 房なしの縁かがり仕上げ | 構造、キリムの残し方、加工後の形と寸法 |
| 側面の糸がほどけた | シラゼのかがり直し・縁の補修 | かがり糸、芯、側面の土台 |
| 柄までほつれた | 本体も含めた補修の検討 | 欠損の範囲、織り、素材の強さ |
補修した端を、気持ちよく使うために
房や縁は、日々のお掃除でも気にかけたい部分です。掃除機の回転ブラシに房を巻き込ませないようにし、糸が出ている箇所を強く吸ったり、こすったりしないようにしましょう。
ほつれを見つけたときは、接着剤や粘着テープで固める前にご相談ください。素材に接着剤が残ったり、糸の状態を確認しにくくなったりすると、その後の補修方法に影響することがあります。
絨毯の房・縁の補修で、よくある質問
Q.房は自分で切っても大丈夫ですか?
A.構造が分からない状態で、特に付け根から切ることはおすすめしません。手織り絨毯では房が本体の経糸とつながっていることが多く、ほつれ止めとの関係も確認が必要です。房を短くしたい、なくしたい場合も、まずは端の写真をお送りください。
Q.どの絨毯も、房なしにできますか?
A.一律には判断できません。手織り・機械織りの違い、素材、キリム部分、土台の傷みを確認します。ご希望の見た目と、加工できる範囲をすり合わせてご案内します。
Q.房がなくなっていても、相談できますか?
A.はい。房だけの問題なのか、本体までほつれているのかを確認して、修復できる範囲を考えます。表側と裏側の両方が分かる写真があると、状態を把握しやすくなります。
Q.料金と納期はどのくらいですか?
A.房の修理・交換、房なし加工、縁の補修は、素材と状態、作業範囲によるお見積りです。全体写真、端の接写、サイズ、ご希望をお知らせください。内容と金額、納期をご案内してから作業を進めます。
Q.クリーニングと一緒に頼めますか?
A.はい。汚れと補修したい部分をあわせてご相談ください。洗浄と補修の内容・進め方は、絨毯の状態を見てご案内します。
「この端、直せる?」を写真でご相談ください
専門用語が分からなくても大丈夫です。「房を残したい」「房なしにしたい」「横の糸がほどけてきた」など、気になっていることをお聞かせください。
- 絨毯の全体が分かる写真
- 気になる房・縁の接写
- 同じ箇所の裏側の写真
分かる範囲のサイズ・素材と、ご希望の仕上がりを添えていただくと、ご案内がスムーズです。
写真を添えて、補修を相談する
