ギャッベクリーニング ウールラグの専門的なお手入れ方法

 

 ~今回の記事について~

ギャッベクリーニングとは、イランの遊牧民が織る伝統的な絨毯「ギャッベ」を専門的に洗浄することです。ギャッベは、色鮮やかな草木染めや素朴なデザインが特徴の手織りの絨毯で、日本でも人気が高まっています。

しかし、ギャッベは他の絨毯とは異なる特性を持っているため、適切なお手入れ方法を知らないと、色落ちや縮みなどのトラブルに遭う可能性があります。

そこで、この記事では、ギャッベクリーニングの概要やメリット、ギャッベの特徴や歴史についてご紹介します。

 

■ギャッベクリーニングについて

ギャッベクリーニングについて

 

 ーギャッベクリーニングとは?

 ギャッベクリーニングは、一般的な絨毯クリーニングとは異なります。

ギャッベは、ウール100%でできており、毛足が長く、ざっくりと粗めに織られているのが特徴です。

そのため、一般的な絨毯と比べて深く入り込んだ汚れやダニを除去するのが難しく、また天然染料によって色落ちしやすい場合もあります。そこで、ギャッベクリーニングでは、以下のような点に注意して洗浄します。

  • クリーニング前に毛足の埃を徹底的に落とす
  • ウールに優しい特殊中性洗剤を使用する
  • 染料の種類に応じて水温や洗浄時間を調整する
  • 毛足の向きに沿ってブラシで丁寧に洗う
  • 乾燥機ではなく自然乾燥させる

ちなみに、ギャッベクリーニングは、専門の技術と経験が必要なため、自宅で行うことはおすすめしません。プロに任せることで、ギャッベの色や質感を保ちながら、汚れやダニをしっかりと除去することができます。

 

 ーギャッベの特徴

ギャッベの特徴として、見る方向によって色が変わり、朝・昼・夜でお部屋の雰囲気が変わるのも魅力のひとつです。

また、ギャッベには様々な文様が織り込まれていますが、それらには遊牧民の生活や信仰が反映されています。

例えば、以下のような点があります。

  • 羊や山羊などの動物文様は、遊牧民の家畜や食料を表す
  • 木や花などの植物文様は、自然への敬意や豊穣を願う
  • 生命の樹(Tree Of Life)と呼ばれる木の形は、生命の循環や永遠を象徴する

ギャッベは、遊牧民の女性たちが自分たちの身の周りの自然や出来事を絨毯に描いた個性的な作品です。そのため、同じデザインやサイズのものはほとんどありません。

一枚一枚に遊牧民の想いや物語が込められていると考えると、より愛着が湧きますね。

 

 ーギャッベの歴史

ギャッベの歴史は、それほど古くありません。というのも、商品として市場に登場したのが、絨毯の歴史の中では比較的最近なためです。おそらく、遊牧民たちははるか昔・・・彼らの遊牧生活が始まった時代から、ずっとギャッベ(彼らがこの名を使っていたかは不明です)を使ってきたと思われます。

初めてギャッベがほかの地域で紹介されたのは、ヨーロッパの市場で1980年代後半のことです。当時、多くのカーペットディーラー達は「こんな絨毯があったのか!」と驚くとともに、その素朴なデザインと鮮やかな色の芸術性に感嘆したといいます。

20世紀後半になって「発見された」プリミティブアート。それがイラン南部の遊牧民が織る絨毯だったのです。遊牧民の生活の中から生まれた、鮮やかな色彩や、いきいきと描かれる動物や草花…。絨毯に織り込まれた彼らの繊細な表現が、ようやく世界に理解されました。それは、時代が彼らの感性に追いついた、ということだと思います。

 

■ギャッベクリーニングでプロが実際に行っている手順とは?

ギャッベクリーニングの流れは、大きく分けて以下の4つの工程に分かれます。

  1. ホコリ除去
  2. 洗浄
  3. 乾燥
  4. 仕上げ

それぞれの工程でどのような作業が行われるのか、詳しく見ていきましょう。

ギャッベクリーニング専門 

 

 ー1.ホコリ除去

まずは、家庭用の掃除機ではなかなか取りづらいホコリを除去します。この工程は非常に重要で、ホコリが残っていると洗浄時に泥のようになってしまいます。

また、ホコリはウールの繊維を傷める原因にもなります。そこで、ギャッベクリーニングでは、ウール専用のブラシを使って一方向に回転しながら丁寧にホコリを落としていきます。

 

 ー2.洗浄

 次に、洗剤を噴霧して汚れを浮き上がらせます。このとき、洗剤はウールにやさしいものを選びます。また、一定時間を置いて洗剤が毛になじむようにします。

その後は、水圧を調整しながら洗いとすすぎを繰り返します。この工程では、食べかすや皮脂、汗などのウェットソイルと呼ばれる汚れを除去します。

 ー3.乾燥

 洗浄したギャッベはまだ水分を含んでいます。このまま放置するとカビや臭いの原因になりますし、ウールの劣化やフェルト化も進みます。

そこで、ギャッベクリーニングでは、室内乾燥室で温度管理と湿度管理をしながら乾燥させます。この工程では、水分を均等に取り除き、毛先が固まらないように柔らかい風合いを保ちます。

 

 ー4.仕上げ

 最後に、仕上げとして毛並みを整えたり、毛玉や遊び毛を取り除いたりします。また、必要に応じて防虫・防カビ・抗菌・消臭などの加工も施します。

これでギャッベクリーニングは完了です。

 

ギャッベクリーニング送付前にこれだけはやっといたほうがいいこと

 ギャッベクリーニングを利用する前に、自分でできることがあります。

それは、日頃のお手入れです。日頃のお手入れとしては、以下のことを心がけましょう。

  • 掃除機をかけるときは、硬質プラスティック製の回転ブラシのヘッドは避けて、吸引力の強い掃除機を使う。
  • 汚れたらすぐに水拭きする。水拭きするときは、ぬるま湯に中性洗剤を少量溶かしたものを使う。オールド絨毯や色落ちが予想される絨毯は冷水を使ってください。
  • 湿気や直射日光に当てないようにする。湿気や直射日光はカビや変色の原因になります。

ギャッベクリーニング送付前にこれだけはやっといたほうがいいこと

ギャッベクリーニングをすることで得られるメリット

ギャッベクリーニングを専門に行うサービスを利用することで得られるメリットを4つ紹介します。

 

 ーギャッベクリーニングでウールの風合いを保つ

ギャッベはウール100%で作られていますが、ウールは水分や熱に弱く、洗濯方法によっては縮んだり毛玉になったりする可能性があります。

また、一般的な洗剤や漂白剤はウールの繊維を傷めることもあります。そのため、ギャッベクリーニングでは、ウールにやさしい洗剤や水温を選び、毛並みや色合いを損なわないように丁寧に洗います。

また、乾燥も室内で行い、紫外線やホコリからギャッベを守ります。これにより、ギャッベのウールの風合いや柔らかさを長く保つことができます。

 

 ーギャッベクリーニングで埃やダニを除去する

家庭用の掃除機ではなかなか取り除けない埃やダニも、ギャッベクリーニングでは専用の高温スチーマーや吸引機でしっかりと除去します。

これにより、ギャッベを清潔に保ち、快適に使うことができます。

 

 ーギャッベクリーニングでシミや汚れを落とす

 ギャッベはリビングやダイニングなどで使われることが多く、食べ物や飲み物のこぼしやペットの毛などでシミや汚れが付くこともあります。

これらは早めに対処しないと落ちにくくなったり、カビや臭いの原因になったりします。ギャッベクリーニングでは、シミや汚れの種類に応じて適切な洗浄方法を選び、優しく丁寧に落とします。

これにより、ギャッベの美しさを保ち、色あせや変色を防ぐことができます。

 

 ーギャッベクリーニングで長持ちさせる

 ギャッベは手織りで作られており、丈夫で長持ちする敷物です。しかし、汚れや埃がたまったまま放置すると、繊維が劣化したり傷んだりする可能性があります。

そのため、定期的にギャッベクリーニングを行うことで、ギャッベの寿命を延ばすことができます。ギャッベクリーニングは、ギャッベのサイズや状態に応じて料金が決まりますが、一般的には数年に一度のペースで行うことがおすすめです

 

ギャッベクリーニング業者を選ぶ上で必要なポイント

 ギャッベクリーニング業者を選ぶ上で、次の4つのポイントに注意しましょう。

絨毯クリーニング

 

 ーウールラグ専門のクリーニングを行っているか

 ギャッベはウール100%で作られていますが、一般的なカーペットや化学繊維のラグとは異なり、洗浄方法や乾燥方法にも細心の注意が必要です。

例えば、アルカリ性の洗剤やドライクリーニングは、色落ちや毛の傷みの原因になります。また、水洗いをする場合も、水分を均等に取り除き、乾燥させることが重要です。湿ったまま放置すると、カビや臭いの発生やフェルト化(毛が固まる現象)のリスクが高まります。

そのため、ギャッベクリーニング業者を選ぶ際には、ウールラグ専門のクリーニングを行っているかどうかを確認しましょう。ウールラグ専門のクリーニング業者であれば、素材や染料に配慮した優しい洗い方や丁寧な乾燥方法を提供してくれます。

 

 ークリーニング前後の写真や保証書を提供してくれるか

 ギャッベは一点ものの絨毯であり、高価な買い物でもあります。そのため、クリーニングに出す際には、できるだけ安心して任せられる業者を選びたいものです。そのためには、クリーニング前後の写真や保証書を提供してくれるかどうかも重要なポイントです。

クリーニング前後の写真は、汚れやシミの状態や色合いや風合いの変化を確認することができます。また、万が一クリーニング中にトラブルが発生した場合にも、証拠として役立ちます。

保証書は、クリーニング後に発生する可能性のある色落ちや毛抜けなどの不具合に対して、どのような対応をしてくれるかを明記したものです。保証期間や保証内容が明確になっていることで、安心感が高まります。

 

 ークリーニング料金や納期が明確か

 ギャッベクリーニング業者を選ぶ際には、クリーニング料金や納期が明確に提示されているかどうかもチェックしましょう。

ギャッベはサイズやデザインによって値段が異なりますが、一般的には平方メートルあたり数千円から数万円程度の料金が相場です 。また、納期はサイズや汚れの状態によって変わりますが、通常は2週間から1ヶ月程度かかります。

クリーニング料金や納期は、ギャッベをクリーニングに出す前に見積もりを取ることで確認することができます。見積もりを取る際には、ギャッベのサイズや汚れの状態、修理の有無などを詳しく伝えましょう。

また、見積もりに含まれる内容やオプションサービスなども確認しましょう 。

 

 ー口コミや評判が良いか

 ギャッベクリーニング業者を選ぶ際には、口コミや評判が良いかどうかも参考にしましょう。口コミや評判は、実際にクリーニングを利用した人の感想や評価を知ることができます。口コミや評判をチェックする際には、以下のような点に注目しましょう。

  • クリーニングの仕上がりや満足度はどうか
  • クリーニング中や後にトラブルが発生した場合の対応はどうか
  • クリーニング料金や納期は適正か
  • スタッフの対応やサービスは親切か

口コミや評判は、インターネットや雑誌などで検索することができます。また、知人や友人などにも聞いてみると良いでしょう 。

 

まとめ

ギャッベクリーニングは、ギャッベやウールラグに特化したプロのサービスです。素材に優しい洗い方と乾燥方法で、ギャッベやウールラグの美しさや風合いを長く保ちます。 また、寿命を延ばすだけでなく、健康面や快適さも向上させます。ぜひ一度お試しください。

 

シェア: