転倒事故から頭を守る!絨毯のある暮らしが安全につながる理由

2025年5月21日

転倒事故から頭を守る!絨毯のある暮らしが安全につながる理由

転倒する人体模型

自宅の中は安全、そう思っていませんか?
実は、家庭内で起きる事故の中でもっとも多く、そして重症につながりやすいのが「転倒」による頭部のケガです。
特に高齢の方や小さなお子さまにとって、床の硬さや滑りやすさは大きなリスクとなり得ます。

さらに近年、交通事故による死亡数が減少する一方で、転倒・転落による死亡数は減少傾向が鈍く、高齢者では交通事故死のなんと4倍以上にものぼることが厚生労働省の統計(出典:厚生労働省『令和4年(2022年)人口動態統計(確定数)』「第6章 死因簡単分類別にみた年齢階級別死亡数・死亡率」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei22/index.html)からわかっています。
つまり「転倒事故」は、身近でありながら重大なリスクなのです。

頭部を怪我した熊のぬいぐるみが寝ているところ

私たちは普段、インテリアとしての「見た目」や「機能性」で床材や絨毯・カーペットなどを選びがちです。しかし近年では、床材・絨毯やカーペットそのものが命を守る役割を持つという観点で見直されつつあります!

このブログでは、日本カーペット工業組合・上智大学・首都大学東京・信州大学が行った実証実験データをもとに、絨毯やカーペットがどれだけ転倒時の衝撃を緩和するかを詳しくご紹介します。

さらに、意外と知られていない「ハイクッション材」との組み合わせや、日本の伝統床材「畳」との比較も交えながら、本当に安心できる床環境とは何かを考えていきます。

ご自宅の床に、もしもの備えはできていますか?
この機会に「ヒトの暮らしにやさしい床」の選び方を、一緒に見直してみましょう!

1. 室内事故で多いのは「頭部のケガ」

転倒事故の起きた場所の割合を示した円グラフ東京消防庁の救急搬送データによると、実際の転倒事故での救急搬送人員の約半数が住宅内での転倒となっており、転倒時の年齢別受傷部位の中でもすべての年代において最も多いのが「頭部損傷」です。
特に高齢者や小さなお子さまのいるご家庭では、床材や絨毯・カーペットの選択が命を守る重要な要素になります。

2. 実証データで分かるカーペットの安全性

2019年に日本カーペット工業組合と上智大学などが行った転倒衝撃試験では、フローリング単体の床はHIC(頭部傷害基準値)が2000を超える危険領域であることが判明しました。

※HIC(Head Injury Criterion)とは、頭部への衝撃度を数値化した指標です。

HIC=1295:重度損傷確率 約40%
・HIC=876:重度損傷確率 約10%
・HIC≧1000:車両歩行者保護評価の基準値

床材 HIC値(踏み外し時) 評価
フローリングのみ 2765
フローリング+カーペットⅠ 1794 改善あり
フローリング+ホームタイル 1194 改善あり
フローリング+タイルカーペット 778 安全域
ハイクッション+カーペットⅡ 482 安全域
746 安全域

フローリングにカーペットを敷くだけでもHIC値が30〜50%以上低下し、明確な安全効果が得られることがわかります。

3. フローリング+カーペットはどのくらい安全?

様々hな姿勢で転倒する女性、赤ちゃん、高齢者

4種類の転倒動作とその進行

「転倒」とひとことで言っても、原因や姿勢はさまざまです。
日常生活の中で起こりうる代表的な転倒には、意識を失って崩れる場合・足が滑る場合・足が何かに引っかかってつまずく場合・段差を踏み外す場合などがあり、それぞれで転び方も衝突する部位も異なります。

以下は実証実験で再現された上記4パターンの転倒姿勢ごとのHIC値一覧です。
転倒事故は一瞬で起こります。いずれの転倒パターンにおいても「0.5〜0.7秒」という極めて短時間で衝突に至ると試算されており、人間の反射では防ぎきれません。
だからこそ、床材のクッション性や衝撃吸収性能が、頭部を守る鍵となるのです。

ここで分かりやすいよう● 危険域(1300以上)  ● 注意域(1000〜1299)  ● 安全域(〜999)として表に表してみると、下記のようになります。

床材 意識喪失 滑り つまずき 踏み外し
フローリングのみ 742 1221 1740 2765
フローリング+カーペットⅠ 724 1293 1313 1794
289 236 675 746
ハイクッション+カーペットⅡ 285 642 497 482


4. ハイクッションによる安全性の向上

「畳」は日本の伝統的な床材であり、安全性も実証されてきましたが、現代の住宅ではフローリングが主流となり、硬く滑りやすい環境が増えています。そこで有効なのが、絨毯+ハイクッションという組み合わせです。

フローリングの上にハイクッション、カーペットという安全性の高い床材の組み合わせ

ハイクッションとは?
厚さ8mm前後の柔らかい素材(ウレタンやフェルト)で作られた床用クッション材で、衝撃吸収、断熱、防音の効果があります。
実験でもほとんどの倒姿勢において最も安全なHIC値を記録し、畳を超える衝撃緩和性能を発揮しました。

5. 安心と美しさを両立する絨毯のある暮らし

「安全性」と「インテリア性」を兼ね備えるのが絨毯の魅力。
特に当店が取り扱う手織りギャッベやウールラグは、自然素材の心地よさと、家族を守るやさしさを兼ね備えています。

高齢のご家族、小さなお子さま、ペットのいるご家庭にこそ、一枚の絨毯が安心の鍵になります。

6. まとめ:家族を守る床づくりの選択肢

転倒から命を守る力を表す図

転倒は不意に起こるものですが、その衝撃をどう受け止めるかは「床材の選び方次第」です。
フローリングの上に絨毯を敷き、さらにハイクッション材を活用すれば、美しく心地よい空間が、家族の安全も守る空間に変わります!

毎日を過ごす「床」だからこそ、少しの工夫で大きな安心を。
それが、私たちが絨毯をおすすめする理由です。


出典:
日本カーペット工業組合『屋内転倒事故におけるカーペットの頭部防護効果の実証実験』(2019年)
上智大学・首都大学東京・信州大学との共同研究より再構成