ギャッベとペルシャ絨毯の違いとは?選び方のポイントを専門店が徹底比較

2026年5月8日

 

 

「ギャッベとペルシャ絨毯って何が違うの?」「結局どちらを選べばいいの?」――手織り絨毯を検討する際、多くの方が抱く疑問です。実はギャッベもペルシャ絨毯の一種なのですが、織り方や用途、価格帯にはっきりとした違いがあり、選ぶ基準も変わってきます。

この記事では、ギャッベとペルシャ絨毯の両方を扱う専門店の視点から、両者の違いを7つの観点で比較し、ライフスタイル別の選び方までわかりやすく解説します。

木村ゆう子さんの写真
執筆・監修

店長 木村ゆう子(絨毯販売歴26年/絨毯アドバイザー)

26年間、毎日ギャッベとペルシャ絨毯に触れ続けてきた経験から、両者の違いと選び方をお伝えしています。それぞれの魅力を理解した上で選んでいただくと、暮らしに長く寄り添う一枚に出会えます。

結論

ギャッベはペルシャ絨毯の一種で、両者は織り方や用途、価格帯にはっきりとした違いがあります。

ペルシャ絨毯はイラン産手織り絨毯の総称で、その中でも遊牧民が織る毛足の長い絨毯がギャッベです。ペルシャ絨毯はノット数(織りの密度)が高く緻密で薄手の仕上がり、ギャッベは厚みがありクッション性が高いのが特徴とされます。

素足で過ごすくつろぎ重視ならギャッベ、芸術性や上品さを重視するならペルシャ絨毯が選ばれる傾向にあります。この記事では7つの観点から両者を比較し、ライフスタイル別の選び方までご紹介します。

玄関に並んだライオン柄のギャッベと装飾性の高い絨毯
一枚一枚に異なる物語が織り込まれた、イラン産の手織り絨毯

ギャッベはペルシャ絨毯の「一種」

ギャッベはペルシャ絨毯の一カテゴリで、「ペルシャ絨毯の偽物」ではありません。「ペルシャ絨毯」とはイランで織られている手織り絨毯の総称であり、ギャッベもその仲間です。

ペルシャ絨毯はイラン産手織り絨毯の総称

「ペルシャ絨毯」は、イラン国内で織られる手織り絨毯すべてを含む広い意味の言葉です。ペルシャはイランの古い呼び名で、イラン国内で織られる手織り絨毯はすべて広い意味でペルシャ絨毯と呼ばれています。

イラン国内には数多くの絨毯産地があり、それぞれに特徴的なデザインや織り方があります。タブリーズ、イスファハン、クム、カシャーン、ナイン……といった都市部の工房で織られる絨毯から、遊牧民が織る部族絨毯(トライバルラグ)まで、すべてペルシャ絨毯の仲間です。

ギャッベは、その中でもイラン南西部のザグロス山脈で暮らす遊牧民カシュガイ族やルリ族が織る、毛足の長い絨毯を指します。

「ペルシャ絨毯」と呼ぶときの一般的なイメージ

日本で「ペルシャ絨毯」と聞くと、多くの方が緻密な模様・薄手・芸術品的なものをイメージされる傾向があります。本記事ではこの一般的なイメージ(都市部の工房で織られた緻密な絨毯)を「ペルシャ絨毯」、遊牧民が織る毛足の長い絨毯を「ギャッベ」として、両者を比較していきます。

ギャッベとペルシャ絨毯の7つの違い

両者の違いを、織り・デザイン・素材・価格など7つの観点で具体的に比べていきます。

リビングに敷かれた青いギャッベ
厚みのある毛足とふかふかの踏み心地が魅力

① 織りの密度(ノット数)

もっとも大きな違いは、織りの細かさ=ノット数です。一般的にペルシャ絨毯のほうがギャッベよりも密度が高いとされます。ペルシャ絨毯では1平方メートルあたり数十万から100万を超えるノット数のものもあり、細かな曲線や繊細な模様まで表現できるのが特徴です。

一方ギャッベは粗めの織りで、模様が大胆かつ素朴になります。これは「織りが劣る」というわけではなく、遊牧民の生活道具として実用性を重視した結果です。厚みのあるふかふかな踏み心地は、密な織りでは生まれにくいものです。

② 結び方(ペルシャ結び と トルコ結び)

結び方にも違いがあり、ペルシャ絨毯はペルシャ結び(一重結び)、ギャッベはトルコ結び(二重結び)が用いられることが多いとされます。

ペルシャ結びは毛が立たず緻密な仕上がりになりやすく、トルコ結びはしっかりと毛を絡ませるため、厚みのある毛足を支える耐久性につながります。ギャッベでトルコ結びが多く使われるのは、織り手のカシュガイ族がトルコ系民族であることに由来していると言われています。

③ 厚みと毛足の長さ

厚みと毛足の長さも大きく異なり、ギャッベは厚手で毛足が長く、ペルシャ絨毯は薄手で毛足が短いのが一般的です。

ギャッベは3cm前後の厚みがあるものも多く、長い毛足のふかふかな踏み心地が特徴です。素足で歩いてもクッション性を感じやすい仕上がりです。一方ペルシャ絨毯は1cm前後の厚みのものが多く、しっかりとした足触りが特徴。家具の脚も安定しやすく、フォーマルな空間に自然となじみます。

緻密な葡萄柄が織り込まれた絨毯のアップ
細やかな曲線や繊細な模様まで表現する伝統的な織り

④ デザインと模様

デザインの作り方が大きく異なります。ペルシャ絨毯は事前のデザイン画に沿って織られ、ギャッベは下絵なしで自由に織られます。

ペルシャ絨毯では、メダリオン(中央の装飾紋)やアラベスク(アラビア風の植物文)など、伝統的な緻密な文様が代表的です。何百年も受け継がれてきた様式美が魅力とされています。

ギャッベは、織り手の感性で表現される素朴で大胆なデザインが魅力です。家族や羊、生命の木、自然のモチーフなど、自由な発想で織られるため、現代アートのような印象を与える一枚も多くあります。

ギャッベのモチーフに込められた意味は、ギャッベの模様に込められた意味でも詳しくご紹介しています。

⑤ 素材

素材の幅にも違いがあり、ペルシャ絨毯は多様な素材が使われ、ギャッベは基本的にウール100%です。

ペルシャ絨毯ではウール、シルク、ウール×シルクなど、産地や用途に応じて使い分けられます。シルクが使われると、より緻密で艶やかな仕上がりになる傾向があります。

一方ギャッベは縦糸も横糸もパイル(毛足)もウールが基本で、天然素材の温かみと耐久性が特徴とされています。

⑥ 織り手と作業環境

織り手も作業環境も対照的です。ペルシャ絨毯は工房の職人が織り、ギャッベは遊牧民の女性が家事の合間に織ります。

ペルシャ絨毯は、都市部の工房で職人(男性も含む)が壁掛けの織機の前に座って織るのが一般的とされます。下絵を見ながら緻密に織るため、整った作業環境で行われます。

ギャッベは、遊牧民の女性たちがテント内で、床置きの織機の上に座って織るというカシュガイ族独特のスタイルです。下絵を見ずに織るのも、カシュガイ族ならではの方法と言われています。

⑦ 価格帯の目安

価格帯は、産地・サイズ・素材・織りの密度によって大きく変わります。「ペルシャ絨毯=高額」「ギャッベ=手頃」という固定的なイメージで捉えるのは正確ではありません。

ギャッベでも大判・上質なものは高額になりますし、ペルシャ絨毯でもサイズや産地を選べば手の届く価格帯のものもあります。具体的な価格は商品によって幅があるため、当店の商品一覧やショールームで実際の価格をご確認いただくのが確実です。

ギャッベ一覧で価格を確認する →

ペルシャ絨毯一覧で価格を確認する →

7つの違い・早見表

  • 織りの密度は、ペルシャ絨毯のほうが高密度
  • 結び方は、ペルシャ絨毯はペルシャ結び中心、ギャッベはトルコ結び中心
  • 厚みは、ペルシャ絨毯は薄手、ギャッベは厚手
  • デザインは、ペルシャ絨毯は事前下絵あり緻密、ギャッベは自由で素朴
  • 素材は、ペルシャ絨毯はウール・シルクなど多様、ギャッベはウール100%が基本
  • 織り手は、ペルシャ絨毯は工房の職人、ギャッベは遊牧民の女性
  • 価格帯は、サイズ・素材・織りの密度で大きく変動

ライフスタイル別の選び方

「結局どっちを選べばいいの?」という疑問に、ライフスタイル別の視点でお答えします。両方を扱う専門店として、お客様のご希望をうかがいながら一枚をおすすめしています。

リビングに敷かれた生成り色のギャッベ
素足で過ごすリビングに、温かみのある一枚を

くつろぎ重視・素足派ならギャッベ

厚みのあるクッション性とふかふかの踏み心地を重視される方には、ギャッベが選ばれる傾向にあります。

素足で過ごすリビング、お子様が遊ぶ空間、寝転がってくつろぐ部屋などにご検討いただくケースが多いです。防音性も期待できるため、マンションでの足音対策をお考えの方にも向いています。

ギャッベ一覧を見る →

マス目に植物モチーフが織り込まれた緻密な絨毯
緻密な模様と豊かな色彩が空間に格調を添える

上品さ・芸術性を求めるならペルシャ絨毯

緻密な模様の美しさや高級感、伝統工芸品としての存在感を求める方には、ペルシャ絨毯が選ばれる傾向にあります。

来客時の見栄え、書斎や応接間、和室や床の間など、空間に格を求める場所に向いています。一枚で部屋全体の印象が変わるような存在感が魅力です。

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実用性とお手入れのしやすさで選ぶ

日常使いのしやすさ・お手入れのシンプルさを優先される方には、ギャッベが向く傾向にあります。

ギャッベはウール100%で丈夫なものが多く、遊牧民が普段使いするために織られているため、汚れにも強い傾向があります。お手入れの方法は商品により異なるため、購入時にスタッフへご確認ください。

一方ペルシャ絨毯、特にシルクが含まれるものは、より丁寧な扱いが必要になります。日常は掃除機と部分的な水拭きで対応できますが、本格的な洗浄は専門店でのクリーニングをおすすめしています。

長く使う視点で選ぶ

どちらも、お手入れ次第で世代をまたいで長く使うことができる絨毯とされています。

ギャッベは手頃な価格から始めやすく、ウールの質が良ければ長期間の使用にも耐えうる耐久性があります。ペルシャ絨毯は高額になる傾向がありますが、メンテナンスを重ねれば資産価値を保てる一枚もあり、代々受け継がれる前提で選ばれる方もいらっしゃいます。

「どちらが自分に合うかわからない」という方へ。

オリエンタルムーンでは、ギャッベとペルシャ絨毯の両方を実際に見て比べていただける予約制ショールームと、ご自宅で試せる敷き比べサービスをご用意しています。

どちらにも共通する魅力

違いを見てきましたが、ギャッベとペルシャ絨毯にはどちらにも共通する魅力があります。

洗面所の床に敷かれたナチュラルカラーの絨毯
草木染めならではの深い色合いは、和洋問わず日本の住まいに馴染む

天然素材・手織りの一点物

どちらも、人の手で織られた世界に一枚の手織り絨毯です。同じ柄でも織り手によって表情が異なり、出会った瞬間が買い時。機械では再現できない温かみと個性があります。

日本の住まいに馴染む草木染めの色彩

ギャッベの素朴な草木染め、ペルシャ絨毯の落ち着いた伝統色。どちらも天然染料の深みのある色合いで、和洋問わず日本の住まいに自然に溶け込みます。

フローリング、畳、どちらの上に敷いても違和感がなく、長く愛着を持って使える一枚になります。

よくある質問

ギャッベはペルシャ絨毯の偽物ですか?

いいえ、偽物ではありません。ギャッベもペルシャ絨毯の一種とされています。ペルシャ絨毯はイラン産の手織り絨毯の総称で、その中でも遊牧民カシュガイ族が織る毛足の長い絨毯がギャッベです。スタイルが違うだけで、どちらも本物のイラン産手織り絨毯です。

初めての一枚はギャッベとペルシャ絨毯どちらがおすすめですか?

暮らしの快適さを重視される方にはギャッベ、特別な空間の演出や芸術性を重視される方にはペルシャ絨毯が選ばれる傾向にあります。素足で過ごすリビングやお子様のいる空間ではギャッベ、応接間や書斎などフォーマルな空間ではペルシャ絨毯が選ばれることが多いです。

床暖房ではどちらが使えますか?

どちらも床暖房対応のものが多くございます。ギャッベはウール100%・接着剤不使用で熱に強いとされ、ペルシャ絨毯もウール製であれば床暖房に対応できる場合があります。ただし、シルク混のものは熱の影響を受けやすい場合があるため、購入時にご確認ください。

ペルシャ絨毯とギャッベを同じ部屋に敷けますか?

部屋を分ける、または用途で使い分ける形であれば違和感なく馴染みます。たとえばリビングにギャッベ、ダイニングにペルシャ絨毯といった敷き分けも一例です。同じ空間に重ねて敷く場合は色や柄のバランスが難しいため、お気軽にLINEでご相談ください。

「両方を実物で比べてみたい」という方へ。

5,000枚を超える在庫から、ギャッベとペルシャ絨毯の両方を比較しながら選べます。オンラインでも、ショールームでも、ご自宅でも、ご希望の方法でじっくりご検討いただけます。

まとめ:違いを知って、自分に合う一枚を選ぶ

ギャッベとペルシャ絨毯には、織りの密度・厚み・デザイン・価格帯にはっきりとした違いがあります。優劣ではなく「用途で選ぶ」のが一枚との出会いを楽しむポイントです。

ギャッベは暮らしに寄り添う実用的な絨毯、ペルシャ絨毯は空間を格上げする芸術的な絨毯。素足で過ごすリビングならギャッベ、フォーマルな空間にはペルシャ絨毯――というように、お部屋の使い方をイメージしながら選んでみてください。両方を持って、部屋ごとに使い分ける方もいらっしゃいます。

当店では、産地から直輸入した本物のイラン産手織り絨毯を5,000枚以上ご用意しています。ショールームでの実物確認、敷き比べサービス、LINE相談など、迷った段階からでもお気軽にご相談ください。

選び方をさらに詳しく知りたい方は、プロ直伝!ギャッベの選び方や、ギャッベはどこで買うべき?専門店で選ぶメリットと失敗しない店の見極め方もあわせてご覧ください。

違いを知った上で、ご家族の暮らしにぴったり寄り添う一枚に出会っていただけたら嬉しいです。

執筆者:店長 木村ゆう子(絨毯販売歴26年/絨毯アドバイザー)